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【生成AI入門】ディープフェイクの作り方と有名アプリ一覧(パソコン編)

ディープフェイクは画像・映像に関する生成AIの技術であり、エンターテイメント分野を中心に様々な場面で活用が期待されています。

特に最近では、自分の動画をAIで生成した顔に差し替えたVTuberや、生成AIで作ったキャラクタを配信するTickTokerが増えています。

本記事では、生成AIに興味を持たれた方、生成AIをYouTubeやTicktokで活用したい方を対象に、PCでディープフェイクを作る方法について紹介します。

ディープフェイク技術について理解しておくことで、YouTubeで流れている偽動画を見破る目も養われますので、騙されないためにも、是非この記事を参考にしてください。

目次

ディープフェイク(Deepfake)とは

ディープフェイクは、人工知能(AI)を応用した画像や映像の合成・生成技術で、「深層学習(deep learning)」と「偽物(fake)」を組み合わせた言葉です。

この技術を使うことで、特定の人物の顔や声を別のものと差し替えることが可能となるため、映画やゲームなどのエンターテイメント分野で多くの期待がよせられる中、悪用されると政治的な被害や社会的な混乱を引き起こす可能性が危惧されています。

ディープフェイクには先端のAI技術が活用されており、特にGAN(敵対的生成ネットワーク)が中心となっています。GANは、生成ネットワークと識別ネットワークが互いに競争しながら新しいデータを生み出す技術です。

ディープフェイクアプリの種類

事前学習の有無による作業フロー

ディープフェイクアプリには、事前学習が必要なタイプと、事前学習が不要なタイプの2通りがあります。
双方のメリット、デメリットを簡単にまとめてみました。

種類メリットデメリット
事前学習が必要パラメータの種類が多く、細かな調整による品質向上が見込める置き換えたい顔画像、置き換え先の顔画像ともに500以上を用意し、数時間~数日に渡る事前学習が必要
事前学習が不要置き換え先の顔画ともに1枚づつ用意するだけで、DeepFake動画が作成できる品質向上に関する細かな調整ができない

どちらも一長一短があるので、両方試してみて自分に合うものを選ぶのが良いかと思います。

ディープフェイクの作りかた

PCでディープフェイクを作る手順は次の通りです。

STEP
Python環境を構築する

DeepFakeアプリはPythonで動作するため、お使いのPCにPythonやグラフィックボード(GPU)のドライバをインストールする必要があります。

DeepFakeアプリの中にはインストーラが用意されており、Pythonを含む必要なドライバやライブラリを自動でインストールしてくれるものもあり、その場合はこの手順を省くことができます。

STEP
使いたいDeepFakeアプリをインストールする

インストーラが用意されているもの、コマンドプロンプトからいくつかのコマンドを実行するもの、バッチがいるが用意されているものなど、アプリによって異なります。

使いたいアプリに合わせてインストールしましょう。

STEP
置き替えたい顔の画像を用意する

アプリによって必要な画像の枚数が変わってきます。事前学習が必要なアプリは500枚以上、事前学習が不要なアプリは1枚だけ用意します。

事前学習する必要のあるアプリでは、動画から顔画像を抽出する機能を使って500枚の顔画像を作成することも可能です。

STEP
入れ替え先の動画を用意する

最終的に顔を置き換えたい動画を用意します。事前学習が必要なアプリでは、この動画から500枚以上の顔画像が抽出され、学習に使われます。

事前学習が無いアプリの場合は、置き換えたい顔が正面になっているフレームを選び、そこから顔を抽出する操作を行います。

STEP
学習させる(アプリによっては不要)

事前学習があるアプリの場合のみ、数時間~数日かけて学習を行います。比較的高性能なGPU(5万以上)であれば、数時間程度の学習でそこそこの動画が生成可能です。

STEP
動画を生成する

元の動画に対して顔の置き換えを実行します。出来上がった動画は所定のフォルダに出力されます。

PCにインストールして使えるディープフェイクアプリ一覧

ここに紹介するDeepFakeアプリは、すべてPC上にインストールして無料で利用することができます。それぞれについてのインストール方法、使い方については個別の記事で掲載していますので、リンクからジャンプしてください。

アプリ名インストール方法使いやすさ事前学習の有無NSFWの有無
FaceSwap★★★★★
インストーラを実行
★★☆☆☆
入力項目が多い
★☆☆☆☆
事前学習が必要
無し
DeepFaceLab★★★★☆
ZIPファイルを解凍
★☆☆☆☆
複数のコマンドを実行
★☆☆☆☆
事前学習が必要
無し
Roop ★★☆☆☆
Pythonの環境構築が必要
★★★★★
3項目のみ入力でOK
★★★★★
事前学習なし
有り
nsfw-roop★★☆☆☆
Pythonの環境構築が必要
★★★★★
3項目のみ入力でOK
★★★★★
事前学習なし
有り
ReActor★★☆☆☆
Pythonの環境構築が必要
★★★★★
3項目のみ入力でOK
★★★★★
事前学習なし
スイッチで切替
roop-unleashed★★★★☆
添付のバッチを実行
★★☆☆☆
操作が少し分かり難い
★★★★★
事前学習なし
無し
FaceFusion★★☆☆☆
Pythonの環境構築が必要
★★★★☆
操作が少し分かり難い
★★★★★
事前学習なし
無し
Rope Opal★★☆☆☆
Pythonの環境構築が必要
★★★★☆
操作が少し分かり難い
★★★★★
事前学習なし、1枚の画像だけで顔の置換が可能
有り

FaceSwap

FaceSwapのスクリーンショット

2019年頃に登場したDeepFakeアプリです。インストーラーをダウンロードして実行するだけで使えるようになります。

しかし、置き換え元、置き換え先ともに顔画像をそれぞれ500枚以上用意し、それらを使って数時間~数日間の学習が必要など、DeepFake動画の完成までに非常に多くの時間が必要です。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!FaceSwapのインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」の記事をご覧ください。

DeepFaceLab

DeepFakeと同時期に登場したツールです。動画を画像に変換→画像から顔画像の切り出し→学習→顔の置き換え→動画生成までの一連のステップごとに、用意されている専用のコマンド(バッチファイル)を実行していく必要があるため、操作が面倒です。

またFaceSwapと同様に、置き換え元、置き換え先ともに顔画像をそれぞれ500枚以上用意し、それらを使って数時間~数日間の学習が必要です。

とはいうものの、顔の輪郭を細かに指定できたり、顔の前に手やグラスなどが被った場合でも、手動でマスキングが調整できるなど手間は掛かりますが、 FaceSwap を超える自然なDeepFake動画を作成することができます。

DeepFakeLabのスクリーンショット

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!DeepFaceLab のインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

Roop

Roopのスクリーンショット

Roopは開発プロジェクトが停止し、その後継を 後述するroop-unleashedに譲りましたが、操作が簡単かつ手軽に使えるため2024年4月時点においても未だに人気が高いアプリです。

Python環境を用意したり、GPU関連のドライバをインストールする必要があるなど、動作環境を構築する手間は必要なものの、置き換えたい顔は1枚だけ、事前学習も不要という手軽さです。

顔の前に手やグラスなどが被った場合や、あるていど顔が横を向いていても、そこそこの精度で顔を置き換えてくれる点も優れています。

DeepFaceLabを「プロの職人が食材を料理する」ことに例えるなら、Roop は「有名ホテルのレトルトカレー」的な存在です。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!Roop のインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

nsfw-roop

nsfw-roopは Roop のフォーク版(ソースコードをコピーして改変したもの)であり、本家と比較して見た目、操作性、機能はそのままに、Webカメラのライブ映像に対するDeepFake機能が追加されています。

インストール方法はほとんど本家のRoopと同じですが、Hugging Face から  inswapper_128.onnx をダウンロードし、models フォルダにコピーする必要がある点だけが異なります。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!nsfw-roop のインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

ReActor

ReActorは Roop のフォーク版であり、本家と比較して操作性、機能はそのままに、次の点が強化されています。

  • Face Enhancer(顔の高画質化)
  • NSFW (Not Safe For Work)フィルター機能のON/OFF
  • 静止画の顔入れ替え

インストール方法はRoopと同じですが、Face Enhancer の機能を利用する場合のみ、Hugging Face から GFPGANv1.4.pth をダウンロードし、models フォルダにコピーする必要があります。

特質すべきは Face Enhancer で、時間は掛かるものの顔の画質がかなり向上し、特に顔がアップの映像においては画質の違いが顕著に現れます。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!ReActor のインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

roop-unleashed

Roop-Unleashedのスクリーンショット

roop-unleashed は Roopの後継に当たるアプリで、Python環境を用意したり、GPU関連のドライバをインストールする必要はあるものの、ダウンロードファイル内のインストール用バッチファイルを実行するだけで、Python環境やGPU関連のドライバなど必要なものを自動でインストールしてくれます。

また、Roopと同様に置き換えたい顔は1枚だけ、事前学習も不要という手軽さも引き継いでいます。

オプションが増えたことで操作が若干複雑になっていますが、画面から複数の動画を登録し、一括して顔の置き換えができる、Webカメラでリアルタイム変換ができるなど、機能が向上しています。

生成される動画の品質については、Roopとあまり変わらないような気がします。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!roop-unleashedのインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

FaceFusion

FaceFusionのスクリーンショット
引用元:FaceFusion

Roopと同じく、Python環境を用意したり、GPU関連のドライバをインストールする点、置き換えたい顔は1枚だけ、事前学習も不要という手軽さは同じです。

生成される動画の品質も Roopやroop-unleashedとそれほど変わらないため、どれを選ぶかは好みの問題になると思います。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!FaceFusionのインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

Rope Opal

最初は Rope-Ruby として登場しましたが、UIを含む大幅な見直し後、Rope Opal という名前に変更されました。ネット上では 旧式の画面が掲載されているケースがありますが、2024年4月現在では上記の画面になっています。

こちらも Python環境を用意したり、GPU関連のドライバをインストールする必要はありますが、置き換えたい顔は1枚だけ、事前学習も不要という手軽さで利用できます。

インストールの方法、使い方については「【失敗しない】PCでDeepFake!Rope Opalのインストール方法&使い方(スクリーンショットで丁寧解説)」をご覧ください。

ディープフェイクの応用例

エンターテイメントとクリエイティブな使用

ディープフェイクは、映画やビデオゲーム、バーチャルリアリティなどのエンターテイメント産業で革新的な変化をもたらしています。

特に映画産業では、故人の俳優を復活させたり、若い頃の姿を再現したりすることで、新たなストーリーテリングの可能性を開いています。

また、ビデオゲームでは、プレイヤーが自分自身のアバターを作成し、より没入感のある体験を提供するためにディープフェイク技術が利用されています。

教育や研究での活用

教育分野では、ディープフェイクを使用して歴史的人物や文学作品の登場人物を「生き返らせる」ことで、学生の関心を引き、教材をより魅力的にすることができます。

研究では、ディープフェイク技術を用いて、社会科学や心理学の実験で人間の反応を調査する際に、リアルなシナリオを作り出すことが可能です。

倫理的な考慮

ディープフェイク技術のポジティブな面を示していますが、同時に倫理的な問題も提起します。

エンターテイメント産業での使用は、著作権や肖像権の問題を引き起こす可能性があり、教育や研究での使用は、情報の真実性や信頼性に関する議論を生むことがあります。

したがって、これらの技術を使用する際には、法的な規制や倫理的なガイドラインを遵守することが重要です。

まとめ

DeepFake アプリには、事前学習が必要なものと、不要なものの2通りがあります。

事前学習が必要なアプリの場合、置き換え元、置き換え先の顔画像がそれぞれ500枚以上必要で、かつGPUを使って数時間~数日学習させる必要があるため、短い動画でもかなりの時間を消費します。
その反面、パラメータが多く細かい設定が可能なことから、手間を掛ければ高品質な動画が生成できます。

一方、事前学習が不要なアプリでは、顔画像が1枚あれば顔の置き換えが可能であるため、気軽に試すことができますが、細かなパラメータ設定ができないため、品質はどこかで頭打ちになります。

今回紹介したDeepFakeアプリでは、DeepSwapとDeepFakeLab の2つが事前学習が必要なタイプで、残りが事前学習が不要なタイプです。

どちらが良いかは試してみるのが一番なので、今回の記事を参考にいくつかのアプリを試してみて、一番自分の用途に合うものをお選びください。

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