ディープフェイク(Deepfake)は、人工知能(AI)技術を用いて、画像や動画などのメディアコンテンツを合成・変更する技術です。
最近の生成AIの進化は目覚ましく、ディープフェイクも簡単に自分のPCで動作させられるようになりました。
今回は、 RopeOpal03aと呼ばれるディープフェイクのアプリをPCでインストールして動作させる手順についてスクリーンショットを多用しつつ解説したいと思います。
尚、ディープフェイク技術は諸刃の剣です。悪用することだけは、くれぐれもお控えくださるようお願いいたします。
ちなみに「【生成AI入門】ディープフェイクの作り方と有名アプリ一覧(パソコン編)」の記事で、他の DeepFake アプリについて紹介していますので、興味のある方は併せてご覧ください。
Rope Opal(Rope Pearl)の公式サイト
Rope Opal が 2024年5月にバージョンアップし、Rope Pearlという名前に変わりました。
概要とソースコードは、Git上にある Rope の公式ページに掲載されています。本記事では、ここに記載されいている内容をできるだけわかりやすく解説したものになります。
https://github.com/Hillobar/Rope
インストールの前提条件
以下のWikiサイトに詳しいインストール手順が記載されています。
本記事もこの内容を元に解説していますが、インストールのしやすさを考慮して順序を少し変えています。
https://github.com/Hillobar/Rope/wiki
Python/CUDAのバージョン
動作に必要な環境は次の通りです。
必要な環境・ライブラリ | バージョンなど | 備考 |
---|---|---|
Python 環境 | Python 3.10 | |
Git 環境 | その時の最新版 | |
FFMPEG | その時の最新版 | 動画作成に使用 |
CUDA Toolkit | 11.8 | CPUで動かすならインストール不要 |
cuDNN | v8.9.7 | CPUで動かすならインストール不要 |
インストール手順の概要
次の手順でインストールを行います。既にインストール済みの場合はその手順を省いてください。
Step1 Python動作環境の構築 | ①Python 3.10の環境準備 ②Gitの環境準備 ③FFMPEGのインストール ④CUDA Toolkit 11.8のインストール ⑤cuDNN のインストール |
---|---|
Step2 Ropeのインストール | GitからRopeをインストール |
Step3 モデルのダウンロード | Gitからモデルファイルをダウンロードし、所定のフォルダにコピー |
インストール手順
Step1.Python動作環境の構築
「【最初の一歩】生成AI向けPython環境構築手順(スクリーンショットで解説)」の記載内容を実行してください。
尚、Python動作環境の構築において、次のインストールは省略して構いません。
Microsoft Visual C++ 2015 再頒布可能パッケージ
Microsoft Visual Studio 2022 ビルド ツール
Step2.Ropeのインストール
コマンドプロンプトを開き、インストールしたい場所にフォルダを移動します。
続けて、以下のコマンドを入力、実行してください。
git clone https://github.com/Hillobar/Rope
cd Rope
python.exe -m venv venv
.\venv\Scripts\activate
.\venv\Scripts\pip.exe install -r .\requirements.txt
インストールした場所に Rope という名前のフォルダが作成され、様々なモジュールがダウンロードされます。
完了まで5分~10分掛かるかもしれませんが、気長に待ちましょう。
Step3.モデルのダウンロード
モデルは次のリンクからダウンロード可能です。赤枠で囲ったファイルをすべてダウンロードしてください。
https://github.com/Hillobar/Rope/releases/tag/Sapphire
ダウンロードが完了したら、Ropeフォルダの直下にある binフォルダに、ダウンロードしたモデルをコピーします。
以上でモデルのインストールは完了です。
Roopの起動方法
Ropeのインストールフォルダにある Rope.bat を実行すると、UIが起動します。
Rope.bat
起動すると次の画面が表示されます。
Roopの使い方
画面の主な機能
操作手順はこれから詳しく説明しますので、ここではどういう機能があるかについて簡単に理解しておきましょう。
尚、右に数多くのパラメータが表示されていますが、今回は何も設定しなくても大丈夫です。
このパラメータの詳細についてはまだ公式サイトに書かれていませんので、わかり次第情報を共有したいと思います。
画像選択から出力までの操作手順
最初に、完成した動画の出力先フォルダ(①をクリック)、置き換えたい動画が保存されているフォルダ(②をクリック)、置き換えたい顔画像が保存されているフォルダ(③をクリック)を選択します。
次は置き換えたい動画から顔を抽出します。
動画のサムネイルから1つを選択(④をクリック)するとプレビュー画面にその動画が表示されます。
スライダー(③)を移動させて顔が正面を向いている位置を探し、FindFace(⑥)をクリックしてください。
すると顔が抽出されてサムネイル表示されるので、クリック(⑦)して選択状態にしてください。
(※選択状態はサムネイルが赤枠で囲まれます)
この時複数の顔が映っていたら、それらすべてがサムネイル表示されるので、そこから1つをクリックします。
次は置き換えたい顔の選択です。
SwapFace (⑧)をクリックしてから顔画像のサムネイル(⑨)から1つを選択してください。
顔を選択するたびにプレビュー動画の顔がリアルタイムに入れ替わります。
Find Face で抽出した顔が複数ある場合、一人づつ Swap Faces→顔画像の操作を繰り返します。
最後に、録画ボタン(⑩)をクリックしてから再生ボタン(⑪)をクリックすると、プレビュー画面に顔が入れ替わった動画がゆっくり再生されます。
録画が完了すると(スライダーが最後まで移動し終わると)、最初に指定しておいた出力先フォルダに、顔が入れ替わった動画が出力されています。
交換後の顔の品質をアップさせる
画面見右上の「Restorer」スイッチをONにすると、顔の品質が指定できます。但し、その分処理速度が遅くなります。
品質についてはGFPGANとCFは微妙な違いなので、好みで使い分ければよいかと思います。GPEN256,GPEN512は顔が画面いっぱいアップになる場合は解像感が増しますが、今回のケースでは逆に不自然な感じになりました。
アップデート方法
Ropeは順次アップデートされるので、定期的にチェックして最新にする必要があります。
コマンドプロンプトを開き、Ropeのインストールフォルダと同じフォルダ階層に移動したら、次のコマンドを実行します。
git fetch --all
git reset --hard origin/master
まとめ
RopeOpal03a を自分のPCで動作させるために必要なインストールの方法と簡単な使い方について紹介しました。
極端に顔が上下左右を向いていたり、顔に手や物が掛かるようなケースでは、まだうまく置き換えることはできませんが、数年前に比べるとかなり手軽かつ綺麗に置き換えられるようになりました。
DeepFaceによりエンターテイメント業界が影響を受けるのではないかと囁かれていますが、スタントマンにすべてのアクションをやらせて、顔だけ有名俳優に置き換えるような映画の撮り方も現実味を帯びてきた感があります。
よく映画やドラマの公開前に俳優が不祥事を起こして放送されていといった事件もありますが、こういう時の対策にもなりそうですね。
今後この技術がどこまで進化していくのか、興味は尽きません。
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