生成AIをはじめとする深層学習(ディープラーニング)において、GPUの利用は必須です。そして、GPUを使うにはNVIDIAが提供している CUDA ToolKitと cuDNN が必要になります。
CUDA Toolkit とcuDNN は対応するバージョンを一致させないと正しく動作しないので、時にはトラブルになることもあります。
そこで、自分のPC(Windows10/11)にインストールされているCUDA ToolKitと cuDNN のバージョンの確認方法について紹介します。また併せて、CUDA ToolKitとcuDNNの正しい組み合わせについても一覧表にまとめましたので、是非参考にしてください。
CUDAのバージョン確認方法
以降は CUDA Tool Kit のことを 単に CUDA と表記します。
コマンドを使って確認する方法
次のコマンドでバージョンを確認できます。ただし複数のCUDA をインストールしている場合、最新のバージョンしか表示されません。
nvcc --version
DOSコマンドで確認する方法
Windowsの場合、CUDA は C:\Program Files フォルダの下にインストールされます。CUDAのバージョンがフォルダ名になっているので、DIRコマンドで確認できます。この方法だとインストールした全てのバージョンが確認できます。
dir "C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA"
インストール先フォルダで確認する方法
WindowsにインストールしたCUDAは次のフォルダ構成になっています。CUDAのバージョンがフォルダ名になっていることは先ほど説明しましたので、エクスプローラーなどで表示すれば容易にバージョンが確認できます。
nvcc コマンドは、CUDAバージョンのフォルダごとに格納されています。
そして、CUDAを複数インストールすると、環境変数 Path の先頭に bin のパスが追加されます。
CUDAを複数インストールした場合、最後にインストールしたCUDAバージョンのパスがPathの先頭に追加されるため、nvcc コマンドでは最後にストールしたCUDAのバージョンしか表示されないのです。
cuDNN のバージョン確認方法
コマンドで確認する方法
Windowsの場合、cuDNN は C:\Program Files フォルダにインストールされます。このフォルダ内にある cudnn_version.h というファイルの中に cuDNN のバージョンが記載されているので、DOSコマンドによって内容を表示できればバージョンが確認できます。
ただし、2回に分けでコマンドを実行する必要があります。1回目は cuDNN フォルダ内にある CUDAのバージョンです。
dir "C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\"
この例では v11.8 と v12.4 のフォルダが見つかりました。次にフォルダ内にある cudnn_version.hの内容を表示します。CUDA v11.8 向けにインストールされている cuDNN のバージョンを確認するには、次のコマンドを実行します。
findstr "CUDNN_M CUDNN_P" "C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\include\cudnn_version.h"
CUDA v12.4 向けにインストールされている cuDNN のバージョン は、 v11.8 をv12.4 に書き換えて実行します。
findstr "CUDNN_M CUDNN_P" "C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.4\include\cudnn_version.h"
この環境では同じ cuDNN 9.0 がインストールされていることがわかりました。
インストール先フォルダで確認する方法
WindowsにインストールしたcuDNN は次のフォルダ構成になっています。
この中に含まれる cudnn_version.h をテキストエディタで開いて最後までスクロールすると、下記の形式でバージョンが記述されています。この例では、cuDNN 9.0.0 だということが分かります。
#define CUDNN_MAJOR 9
#define CUDNN_MINOR 0
#define CUDNN_PATCHLEVEL 0
CUDAとcuDNN の対応表
CUDAのバージョンに合わせて cuDNN のバージョンも対応させる必要があるため、参考までに対応表を作成しました。双方ともバージョンアップが繰り返されていますので、最新の情報は NVIDIAの公式ページをご確認下さい。
CUDA バージョン | 最新の cuDNN バージョン(2024年4月現在) |
---|---|
12.x | cuDNN v9.0.0 (February 2024)) |
11.x | cuDNN v9.0.0 (February 2024)) |
10.2 | cuDNN v8.7.0 (November 28th, 2022) |
10.1 | cuDNN v7.6.5 (November 5th, 2019) |
10.0 | cuDNN v7.6.5 (November 5th, 2019) |
9.2 | cuDNN v7.6.5 (November 5th, 2019) |
9.0 | cuDNN v7.6.5 (November 5th, 2019) |
8.0 | cuDNN v6.0 (April 27, 2017) |
7.5 | cuDNN v5.1 (Jan 20, 2017) |
7.0 | cuDNN v4 (Feb 10, 2016) |
まとめ
CUDA Toolkit と cuDNN のバージョンの確認方法は、コマンドを使う方法とフォルダを直接参照する方法の2通りがあります。
CUDA Toolkit はインストールしたフォルダ名を確認すればバージョンが判断できますが、cuDNN はインストールフォルダの中にある cudnn_version.h というファイルの中身を見ないとバージョンが判断できないため、少々面倒です。
ただ、CUDAと cuDNN をインストールしているにもかかわらず、深層学習でCPUが使われていないなどのトラブルが発生した場合、今回のバージョンの確認方法が役に立つでしょう。